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民泊に対する法整備をしているのはどの自治体?

民泊
(写真=PIXTA)

 一般住宅に有料で旅行者を泊める「民泊」。大阪府議会は2015年10月27日、全国では初めてとなる「民泊条例」を可決・成立させました。続いて東京都大田区が同年12月に同条例を可決するなど、日本経済再建のために安倍政権が用意した規制緩和政策の一つに、各地の自治体が積極的に取り組み始めました。そこで今回は、民泊に対する法整備とそれに取り組む自治体についてみてみましょう。

民泊は法律違反?

 そもそも日本国内において、旅館やホテルのような施設で「(1)宿泊料を受け取って、(2)人を宿泊させる(3)営利目的の営業」行為は「旅館業」と定義され、「旅館業法」に従って営まれてきました。旅館業法に基づく宿泊施設では、都道府県知事か保健所が設置されている市区町村の首長の許可が必要です。このため、個人が住宅などを提供するAirbnbのような「民泊」は、果たして「旅館業法の範疇になるのかどうかという点で、法律的には「かなりグレーである」と言われてきました。

 また、旅館やホテルのように宿泊専用に作られた宿泊施設ではなく、民家を改造して宿泊客を受け入れられるようにしたものに「民宿」がありますが、法的には旅館業とみなされて、旅館業法の適用を受けており、民宿と民泊は明らかに異なります。

 しかし、現在、2020年の東京オリンピック開催を目前に控え、円安などを背景に外国人観光客は急増しており、東京や大阪のような大都市では宿泊施設で深刻な客室不足が発生しています。また、「観光」という産業を経済成長の柱の一つにしたい安倍政権は、さらに多くの観光客を受け入れるために規制緩和で民泊を普及させる必要があると考え、「世界で一番ビジネスがしやすい環境」を作るために設けた「国家戦略特区」を利用して、特定の条件下において民泊を旅館業法の適用除外にすることにしました。

 つまり、自治体が条例を設けその条例で定められた条件をクリアすることで、民泊は「合法」的なビジネスになるというわけです。

大阪府の民泊条例をみると

 では、具体的にどのような条件をクリアすれば民泊は認められるのでしょうか? 大阪府が決めた民泊条例は以下のような内容です。

1) 最低滞在期間は「7日」
2) 立ち入り検査の実施
3) 滞在者名簿の義務化
4) 罰則規定なし

 
1)最低滞在期間は「7日」
 「公衆衛生等を踏まえ、地域のホテル旅館との役割分担、主として外国人の1施設における滞在期間から総合的に考慮して7日」と規定されました。言い換えると、宿泊期間が6日以下の「民泊」は違法となります。ただし、訪日外国人消費動向調査(2015年7月~9月期)では、6日間以内の短期滞在者が約6割となっていることから、「実態に即していない」という指摘が出ています。
 
2)立ち入り検査の実施
 「安心、安全面での不安」を解消するため、行政などによる立入権限を規定しました。
 
3)滞在者名簿の義務化
 「外国人滞在施設経営事業の円滑な実施を図るための留意事項について」で記載されている通り、民泊の認定事業者に滞在者名簿の用意を義務付けました。

4)罰則規定なし
 民泊のための許可申請を行い、「外国人滞在施設経営事業」の認定事業者となる必要があります。ただし、その後に認定事業者が、施行令で定められた要件に該当しなくなった場合や、認定要件が守られていない場合、自治体は認定を取り消すことができます。

 結局のところ、違反しても罰則規定がないため、民泊条例がルールとして本当に機能するかどうかはまだ不透明です。法的な整備も含めて、民泊のルール作りは喫緊の課題と言えます。 

民泊が認められた自治体は

 実際のところ、大阪府の民泊条例は大阪府全域で適用されるわけではありません。というのも、大阪市や堺市などの政令指定都市や、東大阪市、豊中市、高槻市、枚方市の中核市は、立ち入り検査などを行う保健所をそれぞれの自治体で保有していることから、それぞれの自治体で民泊条例を制定する必要があるからです。この結果、大阪府で民泊条例の適用対象市町村となる自治体は、37市町村となりました。

 また、民泊を区域計画に盛り込むかどうかは各自治体の判断次第です。大阪府37市町村のうち池田、吹田、交野、松原市が、2015年12月に開かれた国家戦略特区の区域会議で民泊実施を見送ったため、実際に民泊を導入するのは33市町村になると見られています。

 ちなみに民泊を盛り込んだ事業計画で、国家戦略特区として認められた自治体は下記の通りです。

1) 大阪府(43市町村のうち、大阪市、堺市、東大阪市、豊中市、高槻市、枚方市を除く37市町村。導入を予定しているのは33市町村)
2) 東京都大田区

 また、福岡市は2015年12月、人気アーティストのコンサート期間中に限り、旅館業法の適用除外として民泊を許可したことが新聞などで伝えられて話題になりました。しかし、期間限定で民泊を許可した例外的なケースです。

 日本全国ではすでに2万戸がAirbnbに登録しているといわれています。一方で民泊が認められたのは40余りの市区町村。法的整備は大幅に遅れているといわざるを得えません。

官邸と監督官庁の間に横たわる深い溝

 安倍政権の積極姿勢とは裏腹に、なぜ、民泊合法化の法的整備はなかなか進まないのでしょうか? その理由の一つが安倍政権と監督官庁の間の認識の違いです。

 政府の規制改革会議が2015年12月、民泊への旅館業法適用を外して、届け出制などのより緩やかな管理制度で対応するよう提言したのに対して、2016年1月12日に開かれた厚労・国交省有識者会議では、「民泊は旅館業法の旅館業にあたることは否定できない」として、部屋の貸し手に旅館業法の営業許可を取得することを促す対策案が了承されており、その方針です。

 この旅館業法の枠組みによる許可方式であれば、法改正の必要がありません。カプセルホテルなどと同様の「簡易宿所」の面積基準などを緩和し、宿泊者の確認やトラブル時の体制を整備することを条件に許可して、なんとか民泊を「法の網」で捉えたいようです。民泊を巡る官邸と監督官庁との綱引きは今後も続きそうです。

まとめ

 民泊が普及した場合の経済効果が10兆円台との試算があり、また、海外からの観光客増加で東京や大阪など首都圏の宿泊施設が大幅に不足しています。こうしたことから、「民泊」の普及は不可避で、今後は大阪、大田区、北九州市に続き、「民泊」を盛り込んだ経済政策で、経済特区に名乗りをあげる地方自治体が次々に現れる可能性は非常に高いでしょう。

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