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不動産投資で押さえておきたい日銀とGPIFの動向

不動産投資
(写真=PIXTA)

 不動産投資では売却益や利回りを算出するのと同時に、経済や金利動向など不動産価格に影響を及ぼす要因も把握しておく必要があります。今回は、今後の日本の不動産市況に影響を与える日銀の金融緩和策とGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の動向についてお伝えします。

日銀の金融政策が不動産市場に与える影響

 これまで日本で不動産価格が高騰した時期は、60 年代の高度成長期、70 年代前半の田中角栄首相の列島改造期、80年代後半の平成バブル期、2000年代中頃のファンド投資が活発化した時期と、4回ほどありました。ある研究によると、これらはいずれも日銀の金融緩和策がその基本要因となっていたとされており、金融緩和策と不動産価格の上昇には相関関係があります。

 それでは、2013年以降の日銀の異次元の金融緩和策は、どのように不動産価格の上昇につながったのでしょうか? 単純に考えると、次のような流れになります。

 異次元の金融緩和 ⇒ 金融機関への資金供給拡大⇒銀行の不動産融資の拡大 ⇒ 不動産市場へのマネー流入

 異次元の金融緩和によって市場への資金供給量が大幅に増えると、一部は不動産市場に流入します。
 
 特に不動産の取得には、法人・個人とも融資を受けることが多いため、金融機関から低金利で借入ができる状況は、不動産業への投資、不動産の購入を拡大させることになります。

 また、金融機関の不動産業への貸出と不動産価格には、「貸付が増えると価格が上がる」という強い相関性があります。

 もう少し詳しく述べると、2013年4月に日銀の黒田総裁より発表された「異次元」の金融緩和策によって、金融機関には潤沢に資金が供給され、デベロッパーにとっても用地の仕入れや建設などに必要な資金の借入がしやすい状況となりました。同様に、個人の住宅ローンや不動産ローンについても低金利で借入がしやすくなりました。

 銀行側はカネ余りで融資先を求めており、また不動産業への融資は不動産の担保が取れる実行しやすい案件です。こうしたことから中小を含む不動産業者向けの融資や、個人の不動産ローンへの融資が活発となり、不動産価格の上昇を後押ししていきました。

 もう1つの要因は、日銀がJ-REITを購入していることです。

 日銀は2013年4月に量的緩和の具体的な施策を公表した中で、J-REITの保有残高を年間約300億円に相当するペースで増加させる買入を行うことを発表しました。こうした日銀の「信用緩和」が、不動産市場の成長に寄与しているものと見られます。

 実際、日銀レビュー(2015年3月)によれば、不動産業向け貸出の中では、大手行ではJ-REIT(中小企業)向け貸出が増加しており、また地方銀行でも最近はJ-REIT 向け貸出に取り組む動きも見られる、とされています。

GPIFの動向は

 さて、次はGPIFについてです。

 GPIFとは、正式名称を「年金積立金管理運用独立行政法人」といい、厚生労働大臣から寄託を受け、国民が納めた年金積立金の管理や運用を行う機関です。公的年金積立金の7割にあたる厚生年金保険・国民年金は、このGPIFによって運用されています。

 GPIFで注目すべきは、その運用資産額の規模の大きさと、投資対象です。

 運用資産総額は約130兆円で、世界最大の年金ファンドとなります。

 投資対象については、2014年10月末に投資対象の運用計画が変更され、「基本ポートフォリオを変更、GPIFのガバナンス体制を強化、投資の専門家を増強する」とされました。この変更により、投資対象の基本ポートフォリオは、それまで6割を占めていた国内債券の比率が引き下げられ、国内債券35%、国内株式25%、外国債券15%、外国株式25%という資産構成の割合で運用されることになりました。

 また、この変更時に「運用手法の多様化」として、上記の資産構成には含まれない「オルタナティブ資産」も対象となりました。「(インフラストラクチャー、プライベートエクイティ、不動産その他運用委員会の議を経て決定するもの)について、リスク・リターン特性に応じて、国内債券、国内株式、外国債券、外国株式に区分し、資産全体の5%を上限としました」と記載されています。

 参考:「年金積立金管理運用独立行政法人 中期計画の変更について

日銀とGPIFが連携!?

 GPIFの運用計画の変更が発表された2014年10月末の同じ日に、日銀の黒田総裁は追加金融政策を発表しましたが、その中には長期国債の買入を約30兆円増やすという量的緩和策がありました。

 これについて、経営コンサルタントの大前研一氏は、「この30兆円という数字は、GPIFが国内債券の運用比率を下げるために市場に放出する分とほぼ符合する。つまりGPIFが30兆円分の国債を売って、日銀が買い取るという相対取引になっている」と指摘しています。

 表向きは日銀とGPIFとは全く別の組織ですが、それぞれの政策目標を達成する上で金融市場での「巨大なプレイヤー」として相互に配慮をする面も見え隠れします。

 なお、こうしたGPIFの運用見直しについては、安倍首相の強い意向があったされます。

 GPIFは公的年金の運用機関ですが、約130兆円もの巨額の資金を、国内債券から国内株などへの組み替えを増やすことで、株価のテコ入れ効果を持つことも期待されます。また、株価は都心部の不動産価格とも連動しますので、不動産市況の先行きを占う上でも重要な指標となります。

まとめ

 以上、不動産投資で押さえておきたい日銀とGPIFの動向について述べてきました。

 日銀の動向については、今後の金融緩和策がどのように継続されるのかという点や、2018年に黒田総裁の任期が切れる前後で量的金融緩和策の出口戦略として、何らかの政策変更が行われるかといった点が注目です。

 またGPIFはその運用資金が巨額なことから、仮に0.1%の資金がJ-REIT の買入に充てられたとしても、1300億円に上ります。GPIFが「運用手法の多様化」としてどの程度J-REITの購入に向かうのかは、不動産投資の市況にも影響を与える今後の重要なポイントになるといえるでしょう。

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