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不動産投資は生命保険代わりになるってホント?

不動産投資
(写真=PIXTA)

 万が一の時に配偶者や子供が困らないよう、少しでも多く資産を残したいと思っている方は多いでしょう。「不動産投資は生命保険の代わりになる」といわれますが、これは本当なのでしょうか。一般の生命保険と比較してのシミュレーションも交えながら、その効果の程を確かめてみましょう。

ローンで購入する場合に加入する「団体信用生命保険」

 住宅ローンを組む場合、団体信用生命保険(団信)という保険への加入が条件となることがほとんどです。団信とは、ローンの借入人が亡くなったり、高度障害になったりした場合に、債権者である金融機関へ保険金が支払われ残債を清算することができる保険です。この保険に加入しておけば、借入人に万が一のことがあっても住宅ローンはなくなり、購入した不動産が資産として残ります。この意味で、「不動産投資は生命保険の代わりになる」といわれているのです。ですから、融資を受けずに不動産を購入した場合は相続税対策にはなるものの、「生命保険代わり」にはなりません。

 団信は一般の生命保険に比べると保険料が安く、加入者の年齢によって保険料が変わる生命保険と違い、何歳であっても保険料は共通です。したがって、借入人が高齢であればあるほど、団信のメリットは大きくなります。

不動産の相続税評価は、実際の価格の50~70%

 団信を利用した場合、借入人の死亡によってその配偶者や子が不動産を相続することになり、相続税が課されます。

 不動産の相続税は、時価で評価される現金や有価証券と違い、路線価や固定資産税評価額をもとに課税額が決められます。これらの評価額は取得価格の50%~70%程度と低く、賃貸に回している場合はさらに借地権割合が控除されます。相続後すぐに不動産を売却すれば、多くの場合その不動産の取得価格と同額の現金や有価証券に対する相続税を納める場合よりも相続税が低くなり、多くの現金を手元に残すことができます。

不動産を相続して売却した場合と死亡保険金の比較

 では、本当にこれで「生命保険の代わり」になるのでしょうか。簡易的なシミュレーションで比較してみます。

<相続税の計算>

 相続税の基礎控除額は3000万円+(600万円×法定相続人の数)です。

 もし、現金や有価証券、不動産で財産が8000万円の夫(妻と子2人あり)が死亡した場合、

 3000万円 + (600万円 × 3人) = 4800万円 が基礎控除となり、
 8000万円 - 4800万円 = 3200万円 に対して課税されます。

 この場合の相続税総額を、以下の速算表から求めます。

表1

 妻3200万円 × 1/2(法定相続分) × 15% - 50万円 = 190万円
 子3200万円 × 1/4(法定相続分) × 10% = 80万円(各々)
 190万円 + 80万円 + 80万円 = 350万円

 次に、それぞれの相続分に応じて割り振り、相続税額を算出します。

 妻350万円 × 4000万円 ÷ 8000万円 = 175万円
 子350万円 × 2000万円 ÷ 8000万円 = 87万5000円(各々)

<死亡保険金から相続税を納める場合>

 一般の生命保険の場合、遺族の生活保証という目的のため、死亡保険金のうち一定額が非課税となります。死亡保険金の非課税金額は「500万円 × 法定相続人の数」です。

 先ほどの例だと、500万円 × 3人 = 1500万円が非課税となります。

 このケースで妻が5000万円の生命保険金の受取人である場合、
 3200万円 × 1/2 + 5000万円(生命保険金) - 1500万円(死亡保険金の非課税金額) 
 = 5100万円

 上記の表で計算すると、
 5100万円 × 30% - 700万円 = 830万円

 子についての計算は先ほどと同じなので、相続税の総額は
 830万円 + 80万円 + 80万円 = 990万円
 となります。

 次に、それぞれの相続分に応じて割り振り、相続税を算出します。
 妻 : 990万円 × 9000万円 ÷ 1億3000万円 = 685万円
 子 : 990万円 × 2000万円 ÷ 1億3000万円 = 152万円(各々)

 以上の例では、妻は生命保険金を受け取る際に、相続税を差し引いた
 5000万円 - 685万円 = 4315万円 を手にすることができます。

<団体信用生命保険を適用し、相続した不動産を売却する場合>

 一方、夫が資産価値5000万円の不動産に投資し、団体信用生命保険に加入していて死亡により遺族が不動産を相続する場合には、その70%程度が資産として加算されます。(賃貸している場合には、さらに借地権割合が控除できます)

 概算ですが、
 5000万円 × 70% = 3500万円
 3500万円 × 20% - 200万円 = 500万円

 となり、不動産にかかる相続税は500万円程度と見積もることができます。

 仮に相続後、5000万円で不動産を売却できた場合は、5000万円 - 500万円 = 4500万円の現金を手にすることができます。(不動産の譲渡額に所得税が課されますが、取得費として元の持ち主が取得した時の価格を経費計上できます)

まとめ

 このように、団体信用生命保険は生命保険の非課税控除枠と比較しても、遜色ない程度の効果が得られることがわかります。ただし上記の例のように必ずしもすぐに売却できるとは限りませんし、現金化に時間がかかれば相続税の納付が滞ってしまう可能性もあります。「保険」の本来の目的を考えるなら「不動産投資か生命保険か」を選択するのではなく、不動産投資で継続的に収益を上げながら生命保険にも加入しておくのがよいでしょう。

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