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インバウンド、爆買い、金利引き下げと日本経済にも大きな影響を及ぼした中国経済

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(写真=PIXTA)

 2015年、首都圏の新築マンション価格は、対前年比で約10%も値上がりしました。こうしたマンションの買い手には中国や台湾の投資家の姿もあり、特に都心の新築高層マンションへの活発な投資が目立ちました。

 今年も中国の株式市場や経済動向が、日本経済や不動産市況に少なからず影響を与えると思われます。インバウンド、爆買い、金利引き下げといったキーワードから、中国経済が2016年の日本経済や不動産市況にどのような影響を与えるかを考えてみましょう。

インバウンドで不動産も「爆買い」!?

 昨年は中国から大型バスツアーを組んで、東京の不動産物件を見学に来る投資家たちの存在が明らかになり、お土産品のみならず不動産にも「爆買い」需要があるのかと話題になりました。

 外国人旅行者による買い物など、いわゆる「インバウンド需要」は、外国人旅行者が2000万人に到達すると予想される2016年も、引き続き堅調に推移すると予想されています。しかし、富裕層に限定される高額の不動産投資では、別の観点での考察が必要です。

 中国、台湾の富裕層が日本の不動産投資を行う理由として、円安が進んだ日本の不動産に割安感が指摘されています。2020年の東京オリンピックまでは不動産価格の上昇が続くと考えてられており、「将来の値上がり期待」から、日本の不動産に投資をしていると見られています。

 参考までに、中国や台湾といった中華圏の国々・地域と日本の不動産の平均利回りを比較してみましょう。

 ・中国:2.66% (主要都市での平均)
 ・香港:2.82%
 ・台湾:1.57%
 ・日本:5.02%

 (「GLOBAL PROPERTY GUIDE」より(2015年12月5日時点))

 こうして見ると、中国本土や台湾と比較して、日本の不動産の利回りは高い水準にあり、インカムゲインでも、より高い収益が上がると考えられます。

相次ぐ利下げで中国は景気減速を食い止められるか

 2015年、中国の中央銀行にあたる中国人民銀行は、2015年10月までの間に6回もの利下げを行いました。この背景には、2015年の7-9月期の中国の国内総生産(GDP)成長率が6.9%に低下し、世界金融危機後で初めて7%を下回ったことから、減速感が強まる景気を再び浮揚させようという思惑と預金金利の上限を撤廃し、金利を自由化しようとする動きがあったと見られます。

 こうした中国の度重なる利下げについて、ウォールストリートジャーナル電子版は、「株価を一時的に押し上げるだけの効果に終わり、景気減速を食い止めることはできないだろう。そのため、同行が人民元のさらなる下落を容認する可能性は高まっている」(By WAYNE ARNOLD 2015 年 10 月 26 日 15:22 JST)と報じました。

 実際、年始の上海株式市場では、株価が暴落し、年明け後の1週間で、2度も取引停止という事態となり、上海総合指数は約10%下落しました。

 また、注目すべきは米国の「利上げの始まり」です。2015年12月、米連邦準備制度理事会(FRB)は7年ぶりにゼロ金利政策を解除しました。米FRBは、今後も段階的に利上げする見通しです。米国の利上げは、「株価の下落」、「円安・ドル高」、「米国債券価格の下落」、「新興国株式・債券価格の下落」といったように、グローバル経済に影響を及ぼすと考えられます。

中国経済の低迷や株価の暴落が日本の不動産市況に与える影響は?

 では、中国経済の成長鈍化や株価暴落が、日本の不動産市況にどのような影響を及ぼすのでしょうか。

 日本の不動産関係者からは、2015年7月の上海株式市場での株価暴落を受けて、2015年の夏以降は中国人投資家による首都圏新築マンションへの不動産投資が減ったという声が聞かれました。また、年始に起きた中国の株価暴落を考えると、損失を被った中国人投資家は今後、日本への不動産投資に資金が回せないであろうと思われます。

 なお、中国では法律上1年間に国外に持ち出せる現金は5万ドルまでと制限されています。日本の不動産への投資を行う富裕層は、こうした国外への現金の持ち出しの規制をかいくぐるか、または何名かで投資資金を持ち寄り、物件を購入することになります。しかし、高額物件の買い手は中間層というよりも、共産党幹部やその関係者、大富豪などの「超富裕層」が購入していると思われ、海外への資本逃避(キャピタルフライト)のひとつの選択肢として、日本の不動産が選ばれる可能性もあります。

 ただし、他国通貨や他の金融資産と比較しても、日本の不動産に明らかな優位性がある訳ではなく、換金性、流動性にも劣ることなどから、昨年以上に日本の不動産に投資が加速することは考えにくいでしょう。もし仮に、さらに中国の株価が下落した場合は、現金が必要になった中国人投資家が、日本の不動産を手放すことがあるかもしれません。

まとめ

 2020年の東京オリンピック開催という追い風を受け、外国人投資家による日本の不動産への投資はしばらく続く可能性はありますが、このところの中国経済の成長率鈍化、株価暴落などの影響を受けた中国人投資家の動向は、日本の不動産市況のみならず株価などにもマイナスの影響を与えることになりそうです。

 特に東京都心部のマンション価格と株価は連動性が高いので、今後、中国の株価の推移や経済動向には注意が必要です。

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