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住民経営マンションとは?

住民経営
(写真=PIXTA)

 「住民経営マンション」をご存じでしょうか? リクルートホールディングスが発表した、2016年のトレンド予測・トレンドを表すキーワードの一つです。耳慣れない言葉ですが、「マンションの住民、具体的には管理組合が主体で、資産価値の維持や住み心地の改善のために意思決定を行い、管理・遂行する」という意味です。営利事業を行うわけではありませんが、これまで管理会社任せにしていた部分も、住民が主体となって行うことだと考えれば分かりやすいでしょう。

マンションが直面する課題

 2016年のトレンドを表すキーワードとして、こうした言葉が挙げられたのには、どのような背景があるのでしょうか?マンションは今、慢性的に次のような課題を抱えていると言われています。

 ・大規模修繕のための積立金の不足
 ・理事会、総会への参加意欲・参加率の低さ
 ・住民同士の関係の希薄さ
 ・住民の高年齢化

 住民経営マンションとは、これらの課題に取り組む一つのあり方と言ってもいいでしょう。

パラレルキャリアの面から有効

 もう一つ目新しい言葉を解説しておきましょう。「パラレルキャリア」という言葉です。これは、生計を立てるための主な仕事に加え、他に仕事や活動の場を持ちそちらでも活躍することを指しています。主に、非営利活動への参加などを想定しています。マンションの管理組合への活動に参加するのは、まさしくこのパラレルキャリアの実践と言えるでしょう。こうした側面からも、住民経営マンションが注目されています。

住民経営マンションの例

 それでは、実際に住民経営マンションとして成功している事例をご紹介しましょう。

1)ブラウシア
 千葉県千葉市中央区で、2005年に竣工した438戸の大規模な物件です。2011年の東日本大震災をきっかけに、それまで管理会社任せだった管理体制の見直しを図りました。そこで、住民が主体的となって管理組合でマンションを運営すべく、「ブラウシア理念」を作りました。このブラウシア理念では、「ブラウシア管理組合は、強固なコミュニティをベースとし、終の棲家として充実したマンションライフを実現する」ことを目標に掲げています。

 その結果、次の成果を生み出しています。

 ・長期修繕計画の見直しを行った。計画を30年から54年に引き伸ばし、修繕積立金を増額
 ・積極的にコミュニティ活動を行う。例)クリスマス、夏祭り、消防訓練
 ・新規入居者向けのオリエンテーション
 ・公式ホームページの立ち上げ (URL:http://blausea.net/)

2)有明マンション連合自治会
 有明北地区内に存在する、次の5つのマンションの管理組合が連合して活動を行っています。

 ・オリゾンマーレ
 ・ガレリアグランデ
 ・ブリリアマーレ有明
 ・シティタワー有明
 ・ブリリア有明スカイタワー

 「意見調整を行い、有明地区を住みよくすること」「住民の親睦を深め、マンション間の情報交換を活発にすること」が目的です。

 その結果、次の成果を生み出しています。

 ・住民相互の親睦を深めるためのイベントの開催  例)運動会
 ・江東区、東京都交通局への要請によるバスの増便

住民経営マンションを後押しする団体

 住民経営マンションの潮流は、個別の物件だけではありません。住民が主体となったマンション経営を後押しする、次のような団体や会社も現れています。

1)マンションのWa
 これは国土交通省、住宅金融支援機構、東京都都市整備局等が主体となって運営するサイトです。マンションライフの充実や管理に関する情報を集め、交流を図るプラットホームサイトを目指しています。お祭り、お茶会などの個別具体的なイベントレポートなどもあります。「住民経営マンションにシフトするにはどうすればいいか」という課題の答えを探るのにも役立ちます。

2)東邦レオ株式会社
 植栽管理=マンションの植え込みや花壇などの管理を請け負う会社です。マンションの住民と一緒になって花の植え替えを行うなど、あくまでも住民参加型の植栽管理を提案しています。一緒に何かをすることで住民同士の交流を図り、コミュニティ形成を活発化させることを目指しています。

3)株式会社ディグアウト
 マンションの集会場やコミュニティスペースなど、共用部分を活用した行事運営を請け負う会社です。ヨガ、英会話などのカルチャースクール、コンサートなどの音楽イベント、農業体験ツアーなどを実施しています。これにより、共用部分の稼働率を向上させ、コミュニティ形成・活動の活発化を目指しています。また、マンション住民専用のWebシステム、管理組合用のWebページの作成なども行っています。

まとめ

 最後に、住民経営マンションという言葉が出現した背景についてもう少し考えてみます。従来、マンションは「住む場所」としての機能ばかりがクローズアップされていました。つまり、「自分たちが住む」という機能が満たせればいいと考えられていたのです。しかし、東日本大震災のような大規模災害が起こり、社会情勢も変化し、「助け合い」という人とのつながりが重視されるようになりました。これはマンションでの生活にも当てはまります。「同じマンションに住む人間同士で助け合いを」という考え方が出現したのです。住民経営マンションとは、こうしたことの産物といえるのかもしれません。

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